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動物看護士おもちせんせいの ペットと健康でハッピーなくらし

動物看護士おもちせんせいです。動物病院をはじめ、様々な動物業界で仕事をしていました。その経験を活かし、職場でのエピソードやペットや動物との正しい暮らし方を紹介していきます。

身勝手な飼い主:末期がんのセントバーナード

始めに私事ですが、祖父の葬儀が無事終わりました。とは言え、まだまだばたばたしているのが現状です。小春も懐かせるために大切な時期なので、長時間放置で申し訳ないです。空いた時間は小春をあやしているので、なんとも時間が取れない日々です。

今日の話は・・・

今日は、動物病院で勤務していた時に出会った「身勝手な飼い主」さんのお話をしようかと思います。実は、結構身勝手な飼い主さんが多いのが現状です。大切な家族ですから、一生懸命なのはわかりますよ。でもね、ほかの子もいることや治療法にも法律もあって、うまく出来ないことがある事も分かってほしいんです。

待合室でのルール

待合室では、必ずケージに入れるか犬の場合はリードでつないでください。たまに、膝に抱っこしたままの方や、鳥やフェレットなどを肩や首において来院される方もいます。もちろん、注意するのですが、「うちの子はかしこいから大丈夫」などの一点張り。

 

確かにその子はしつけがなっていて大丈夫なのかもしれません。しかし、病院はペットにとっては嫌な場所である事や、ほかの動物が襲ってしまう恐れがある事なども頭に入れてほしいのです。そのような事故があった場合、責任はとれません。どうか小動物や猫はケージに。犬はケージおよび短めのリードを必ずつけてください。一度2重ドアを脱走して大変な事態になったわんちゃんもいます。おそらく飼い主が膝にのせていたのだと思います。

本題に入りまして

さて、小春が絶賛邪魔してきますが・・・。

こんな飼い主やめてくれーというお話を一つ。ある日、セントバーナードが来院しました。その子は、通院歴も長いようです。飼い主は30代後半のご夫婦です。このセントバーナードは、末期がんでした。そして、容態が悪いとのことで、夜の診察時間外に訪れました。末期がんだったということもあって、これ以上の治療は不可能だという診断でした。

 

苦しそうな子を前に、飼い主さんはとてもショックを受けていました。セントバーナードのように個体が大きな子は、亡くなるまでに時間がかかります。そのため、苦しむ時間も長くなってしまいます。延命措置はできないものの、せめて苦しませないよう、入院することになりました。

 

とても大きな子なので、入院用のケージの用意も大変でした。飼い主さんは、「安楽死」という選択も視野に入れていました。しかし、獣医としては安楽死は極力したくないのです。安楽死をさせなくても、そう長くはないという意見と、苦しむくらいなら安楽死をという意見とで、話はなかなか決まりませんでした。

 

飼い主の困った行動

飼い主は、病棟にいつまでもいました。本当は面会には時間があります。それは、ほかの子もいるからです。ほかの子にとっては、知らない人がいるという環境はストレスになってしまいますし、私たちも治療に専念できません。何度注意しても、飼い主は納得してくれず、それどころかいつの間にか勝手にケージからその子を出していました。

「なにをしているんですか!」

そう問えば、

「狭くて可哀想だから」

と言って聞いてくれません。事情を説明してもまったく聞いてくれず、ケージから出し、大きな体のセントバーナードと大人二人に犬用の病棟を占領されてしまいました。これではほかのこの治療ができない。なんとしてもそこは退いてもらわないと。

 

仕方がなく、診察室の一つを開放し、動けないセントバーナードをなんとか運び入れ、そこに飼い主さんもいることになりました。深夜になっても、飼い主さんは帰宅せず、なにかあればすぐに騒ぎ、医者や看護師を困らせました。そして、徐々に物は増え、アウトドア用品などをいつの間に診察室に持ち込み、自分の部屋状態に・・・。

 

その状態は、次の日も、その次の日も続きました。診察室は5部屋ありますが、それでも日中は待ち時間が3時間なんて日もあるくらい。はっきり言って迷惑です。しかし、何を言っても帰ってくれる兆しはなく、延命措置だの安楽死だのと事あるごとに騒ぎ立てました。

 

ある日の明け方、その子は病院で自然に息を引き取ったのですが、その子は本当に幸せだったのか、私はそんな考えが浮かびました。飼い主は、子供の様に可愛がっていました。それは確かです。しかし、身勝手すぎる行動は、本当に愛犬家として正しい行動なのだろうか。犬を飼う資格があるのだろうか。私は今でも思いだしては疑問に思うことがあります。