動物看護士おもちせんせいの ペットと健康でハッピーなくらし

動物看護士おもちせんせいです。動物病院をはじめ、様々な動物業界で仕事をしていました。その経験を活かし、職場でのエピソードやペットや動物との正しい暮らし方を紹介していきます。

あなたのペットは大丈夫?:「オンリーワン」は危険!!

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今、ペットを飼っている方はたくさんいらっしゃいますよね。私の場合はインコがいますが、犬、猫、うさぎ、ハムスター、鳥などなど・・・。色々なペットがいます。ペットの魅力は、なんといっても飼い主さんに懐いてくれるところではないでしょうか。

 

そんな、飼い主に懐く生き物ですが、現在多くの方が飼育するようになり、問題になってきているのが「オンリーワン」というものです。みなさんは、このオンリーワンをご存知でしょうか。そして、オンリーワンになっていませんか??オンリーワンは、実はとても危険なのです。

オンリーワンはナンバーワンじゃない

オンリーワンというのは、ざっくりいうと「ある1人にしか懐かない状態」のことです。わんこなんかは順位付けをします。これはナンバーワンですよね。オンリーワンは違います。オンリーワンは順位付けをしない猫やうさぎ、鳥にも存在します。例を挙げて説明します。

オンリーワンとは?:例・高齢者Aさんとマルチーズのたろう

高齢者で一人暮らしのおばあさん、Aさんに、息子さんが寂しいだろうと飼い与えたのがマルチーズのタロウでした。マルチーズは小型犬なので、おばあちゃんでも飼えるだろうとの良心でAさんのおうちに迎えました。Aさんは孫のようにかわいがり、日中もほとんど外出する機会がなかったため、1日中タロウに寄り添い、寝るときも一緒でした。

数年が過ぎ、ある時Aさんは病気で1週間ほど入院しました。タロウは息子さんが様子を見ることになったのですが、息子さんがエサを与えてもまったく口にしないどころか、吠えて威嚇し、手を出すと噛みつくしまつ。手に負えないので、ケージを買って、その中で1日中生活させました。

なんとか1週間でAさんは退院することができたため、その時はそれで終わったのです。しかし、Aさんは病気をきっかけに体が弱くなり散歩もできなくなってしまいました。仕方がないので、ペットシッターに散歩の代理を頼みました。ペットシッターにも歯ぐきをむき出しにして威嚇し、下手の手を出そうものなら本気でかみつくしまつ。この時から、同時にヘルパーさんも雇いました。しかし、同じようにとても攻撃的で、ある時ヘルパーに噛みつき、手を数針縫うけがをさせていましました。

ヘルパーさんとの話し合いの結果、ヘルパーが来る日にはタロウをケージに入れておくという約束になりました。しかし、おばあさんの力では、なかなか嫌がるタロウをケージに入れることはできず、ヘルパーサービスも受けられなくなってしまいました。

おばあさんは認知症も発病し、妄想から警察を呼ぶ始末。もう一人で住むのは限界を感じた息子さんは、Aさんを介護施設へ入居させました。こまったのはタロウです。Aさんといつも一緒だったタロウは、Aさんを探し1日中なきさけび続けました。エサも食べず、誰かが近づくと威嚇する。もはやケージから出すことも不可能な状態・・・。ある日、朝ケージのカバーをとると、タロウの被毛は血だらけでした。何事かあわててケージに入れたまま動物病院へ連れていきました。

タロウは自分の体をかじっていたのです。ストレスからの自傷行為でした。また、エサを食べていなかったため、栄養失調も起こしており、数日入院すことになりました。入院中、退院後のタロウについて色々話し合いましたが、もはや息子さんではタロウの世話をしきれないということで、タロウは退院後、動物程施設へ連れていかれました。その後、タロウがどうなったのかはわかりません。

あなたに「もしも」があったとき、ペットは大丈夫?

タロウの件のように、一人にしか懐かないともしもの入院や一緒に住めなくなったとき、ペットは自殺に追い込まれてしまいます。

  • 昼も夜も呼び鳴きをする
  • 餌を食べない
  • いうことを聞かない
  • 噛む、威嚇する
  • 自傷行為をする

飼い主さんからしかエサを食べない、ということは珍しいことではないと思います。しかし、飼い主さんが一緒に居られなくなったとき、命の危険にさらされてしまうのでペットなのです。

オンリーワンにならないために

  • 家族全員が世話をできるようにする
  • 一人暮らしの場合は友人など、世話を出来る人を探しておく
  • 病歴、給餌の仕方、薬など世話の仕方をメモしておく

家族のなかでもお父さんからしかご飯を食べない。などという環境は良くありません。みんなで協力して、お世話をできる環境を作りましょう。一人暮らしの方は、オンリーワンになりがりです。散歩などで第3者と接触する機会をつくったり、気の知れた友人などの家にペットを連れて遊びに行ったりしましょう。同じ動物を飼っている人なら、より安心できますね。また、もし急に自分が世話ができなくなってしまったときのために、普段やってほしいことをメモしておくとお安心です。メモをする場合は、命に関わる事から順番に書いておくと良いでしょう。

  • 餌の量や与え方(メーカー名)
  • 犬の場合は散歩のルートや回数
  • 病歴や投薬、かかりつけの動物病院
  • 毎日どんな世話をしているか
  • 独特の癖や行動があれば書いておく

このように、なにをどうしたら良いのか分からない人が見てもこれだけはやってほしいということをメモしておけば、自分になにかあったときに安心です。

Aさんの場合には、

  • 餌をAさん以外から食べない
  • Aさんがいないと呼び鳴きをする
  • Aさん以外の人はみんな敵(恐怖感)
  • Aさんがいないことでストレス→自傷行為

このような問題があり、命の危機にまで追い込んでしまいました。

「私以外の言うことはきかないの」

と自慢げに話すのは、間違いです。もし、そのような状態であれば、すぐに改善してください。オンリーワンは改善可能です。もし、オンリーワンになっているようならば、訓練士(トレーナー)などに相談すると良いでしょう。あなたの大切な家族が、オンリーワンにならないよう、飼い主さんは周りの人間関係をしっかりと作っておくことが必要です。