動物看護士おもちせんせいの ペットと健康でハッピーなくらし

動物看護士おもちせんせいです。動物病院をはじめ、様々な動物業界で仕事をしていました。その経験を活かし、職場でのエピソードやペットや動物との正しい暮らし方を紹介していきます。

動物園飼育員が怖いと思った動物ベスト3:第1位は「くま」

私が動物園で飼育員として勤務していた時に、怖いと思った動物ベスト3。3位はうさぎ、2位はダチョウでしたが、1位はくまです。

くまというと、そもそもが怖い動物ですよね。先日もニュースでクマに襲われけがを負われた方がいるようで、本当に怖いと思います。

基本的に、ライオンやくまといった猛獣は接触することなく飼育するため、危険性は低いのです。

嵐の動物園は・・・

夏場は特に、台風や大雨で閉園する日もあります。そのような日、飼育員たちはなにをしているかというと、普通に活動しています!動物園が休みでも、動物たちはいますからね。そして、接客がないぶん日頃手が回らない大掃除をします。

台風の日は、それはもう大変です。大嵐の中の掃除は、綺麗にしているのか汚しているのか分からない状況です。もう1日の終わりには、シャワーを浴びた直後のようにびしょびしょです。

大掃除の失態

ある日、悪天候のため動物園はお休み。その日は、くまの展示場の掃除をすることになりました。くまの檻は2重になっており、一般のお客様は近づくことができません。私たちは檻と柵の間を掃除することになりました。

檻の中には、一頭のクマがいます。2メートルは軽く超える大きさです。檻と柵の間に足を踏み入れるのは、私にとって初めての経験でした。とにかく早く終わらせることが大切です。掃除用具をもって、柵を超えます。

そこからは、くまの位置に注意しながら清掃を行います。しかし、雨がひどく視界は良くありません。

そこで、私に事件が起きました。檻に背を向けてしまった瞬間、ものすごい勢いで檻に押し付けられたのです。

「!?」

背中が檻に食い込むのではないかと思うほどの衝撃にふり返ると、そこには大きなくまが!!

檻越しに手を伸ばして、私を引き寄せたのです。

くま的には、全く優しい力具合で、人間でいう握手のような感覚だと思うのですが、ものすごく強い力なのです。私は背中から服をつかまれ、ぐいぐいと檻に押し付けられます。服を脱げればよかったのですが、その時着ていた服はつなぎ(上下がつながっています)。そのため、脱ぎ捨てることは出来ません。

このままでは、めり込んで死んでしまうのではないか!

本気でそう思いました。しかし、異変に気付いたほかの飼育員が気をそらせてくれたとき、くまはパッと手を離しました。そして、私は一命をとりとめることができました。

 

もちろん、これは私のミスであり、くまはただじゃれついただけなのですが、それにしても野生の生き物というのはこんなに力が強いものなのかと、実をもって感じさせられました。おそらく、普通には想像できないでしょう。

人間が想像する力の範囲というものを、はるかに上回る力でした。本当に、私ひとりだったら、命はなかったかもしれません。

ということで、怖いと思った動物の1位は、くまでした。今、こうして記事を書いていても、思い出すとぞっとします。