飼い方は分からないけど、可愛いからとりあえず買ってみた:グリーンイグアナの悲劇 その2
「あなたのしていることは、虐待と変わらないですよ」
獣医が言ったこの一言。
最終的にどのような状態だったのかというと、緑は体の成長に合わない、小さな水槽(20㎝くらいの)で飼育されていました。緑を飼ったときは、ま小さな子供だったため、体も小さかったのです。
しかし、グリーンイグアナは大きくなります。成長していくうえで、飼い主さんは緑の水槽を大きなものに替えないでしまったのです。その結果・・・
「体は成長したくても、水槽が狭すぎて大きくなれない。その結果、見てお分かりのように、四肢があり得ない状態に曲がっています」
これが、緑が元気がなくなってしまった原因の一つでした。
グリーンイグアナは、実は最大2メートルになる大型のイグアナなのです。売られていた時は、小さかったので、知識のない飼い主さんは分からなかったのでしょう。
しかし、どう考えても狭い水槽内で飼育を続けてしまったかはわかりません。緑は、狭すぎる水槽の中で、方今転換もできない、身じろぎすらできないような状態でした。
それでも大きくなってしまうからだ・・・。緑は、四肢の骨を軟骨にすることで、命をつないでいたのです。四肢はあり得ない方向にぐにゃぐにゃと曲がっていました。
「当然、成長するのは四肢だけではありません。体幹自体が成長できていないため、当然内臓にも負担がかかっています。元気がないのは当然です、正直、ここまでひどくなってしまっては、手の施しようがありません」
獣医の診断は、このようなものでした。
先ほども述べたように、グリーンイグアナは大きくなると2メートルにもなる大型な個体です。そのため、飼うにはかなりの勇気が必要です。2メートルが悠々と生活できる水槽はそうはないでしょう。
つまり、一部屋をまるまるイグアナルームにするのか適切かと思います。しかし、ただ広い空間を与えればいいというわけではありません。
グリーンイグアナは、紫外線を大量に必要とします。適温は26度。常にエアコンを使用して温度を調整する必要があるとともに、紫外線を確保するためにバスキングライトという蛍光灯のようなものを設置する必要があります。この際のホットスポットは、35度~40度です。
また、乾燥を苦手としますので、加湿器は必須アイテムです。常に湿度は60%から70%ほどを保つことや、体の表面が乾かないよう、霧吹きなどを散布する必要もあります。
そして、たまには水浴びも必要です。
イグアナの寿命は10年前後と言われています。つまり、このような場所や光熱費をかなり必要とする生活を、10年は覚悟しないといけないということになります。
そのため、飼育放棄されることも多いのが事実です。里親募集にも出ていることがあります。
結局、緑がその後来院することはありませんでした。
おそらく、ペットショップで一目ぼれをしてお迎えしたのでしょう。生態の情報や、飼い方などの知識が皆無のまま・・・。
苦しんだのは、ほかでもない、緑なんです・・・。
とても悲しく、辛い現実でした。