動物看護士おもちせんせいの ペットと健康でハッピーなくらし

動物看護士おもちせんせいです。動物病院をはじめ、様々な動物業界で仕事をしていました。その経験を活かし、職場でのエピソードやペットや動物との正しい暮らし方を紹介していきます。

熱湯をかけられた猫、シロの奮闘記 その1

私が動物病院に勤務している時、こんな事件がありました

熱湯をかけられた猫

私が働いていた動物病院は、動物病院としては比較的規模が大きな施設でした。日中は獣医が5人、看護士は15人ほど常勤していました。私はその一看護士として勤務していました。

 

ある日、ふとICU(集中治療室)を見ると、見慣れない子が入っていました。ICUはその名の通り集中治療室で、一般病棟とはことなり状態が危険な子や、術後の子が入ります。いつどうなってもおかしくない子もいるため、医師や看護師の目のつきやすい場所に配置されています。

 

そこにいたのは、白い包帯で全身ぐるぐる巻きの動物でした。一目では、犬だか猫だか、はたまたほかの動物なのかわからないくらいです。入院のケージには、種類や名前、病名などが記された札がつけてあります。それを見ると、猫・名前「シロ(仮名)」・火傷と書かれていました。

 

シロは全身やけどを負い、運ばれてきた白猫でした。全身を包帯に包まれ、ぐったりしていました。点滴、酸素吸入、温度管理などの処置が施されていました。見た感じ、「これはひどい、長くはもたないだろう」と私は思いました。そのくらい、重篤な状態だったのです。

 

火傷を負ったいきさつ

 

シロは30代後半の女性Aさんと、Aさんの母親の2人暮らしの家で生活していました。家と外を自由に出入りできる生活環境だったそうです。拾った野良猫でしたが、とてもかわいがられていました。しかし、隣の住人がとても猫が嫌いな方だったそうです。

 

シロはやんちゃざかりで、隣の家の庭をいたずらしてしまうことが多かったそうです。隣人から何度か苦情が来ていましたが、とくに対処をしなかったそうです。ある日、いつものように隣人宅をいたずらしたシロに、隣人の怒りが爆発しました。

 

隣人はシロを捕まえるとかごに入れ、なんとその上から熱湯を浴びせました。そう、シロのやけどの原因は、隣人が故意に熱湯をかけたことが原因だったのです。この話を聞いたとき、私は我が耳を疑いました。そんなひどいことをする人がいるものだろうかと。しかし、先輩看護士の話によると、猫を嫌いな人は、ひどく毛嫌いする場合が多いのだそうです。

 

運ばれてきた際すでに容体は悪く、「いつどうなってもおかしくない」と医師は告げたそうです。それでもなんとかして欲しい!そんな飼い主さんの希望もあって、動物病院でのシロの闘病生活が始まりました。

 

続く