動物看護士おもちせんせいの ペットと健康でハッピーなくらし

動物看護士おもちせんせいです。動物病院をはじめ、様々な動物業界で仕事をしていました。その経験を活かし、職場でのエピソードやペットや動物との正しい暮らし方を紹介していきます。

シニア犬の介護:ゴールデンの介護

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写真は、うちで飼っていたゴールデンのゴー君と、ブロイラーのコッコです。ゴー君は13歳のおじいちゃん犬です。イギリス系のゴールデンなので、巻き毛が特徴です。体重は成犬時で43キロと、骨格が大きなわんこでした。

ゴー君の老化現象

ゴーが歳をとったなと思ったのは、まずは散歩。以前はたくさんの距離を必要としましたが、最後の方はゆっくりしたペースで歩くようになりました。

そして食事。ドライフードを食べなくなってきました。お湯でふやかしたり、ウェットやパウチを混ぜたりして与えました。

あとは普通に性格がまったりしたということくらいです。ゴー君は病気などを一切しなかったため、本当に孝行なわんこでした。

動けなくなってからが大変

ゴー君は、基本的に外で飼育していました。ある日、小屋の中から出てこなくなってしまいました。どうやら、動けないようなのです。しかし、小屋の中から引っ張り出すことは不可能。出てきてくれるのを待つしかありませんでした。ご飯やお水を小屋の中に入れて与えました。

そして、とある日ゴー君が最後の力を振り絞って小屋から出てきたのです。私と母親、姉がその時家に居たので、すぐにゴー君の元へ。そして、母親と私でゴー君を支えながら家の中に誘導しました。ゴー君は小屋の中では排泄をしないため、我慢していたのでしょう。私がたまたまゴー君を支えたときに膀胱を圧迫してしまい、結果良かったのですが、おしっこを大量にしました。

そのおしっこ、私の手に見事にかかっていたのですが、今手を放してしまうとゴー君がその場にくずれてしまい尿まみれになるので、頑張って耐えました。耐えるというのも、まず溜めていたので量が非常に多い。そして血尿でした。匂いも生臭く、異様な臭いがしました。

頑張った1週間

ゴー君は玄関の中まで運ぶのが限界でした。急いで敷布団を用意して、その上に横たえました。ゴー君は急に老化が進み、立てなくなってしまったのです。そして、食事も摂らなくなりました。血尿もあったため、なにか病気だったのかもしれませんが、もう13歳でもあり、これ以上動かすこともできないので、家族ででできるだけのことは使用ということになりました。

ゴー君は大型犬。体の大きさも体重も私よりありました。(私が小さいのもあります)なので介護は本当に大変でした。まず、排泄ですがご飯を食べないので(強制給餌はしません)便はありませんでした。尿は常に足の間や体の下にペットシーツを敷いて、一回の排尿ごとに取り換え、体を拭きました。

床ずれを起こさないように、一回の数時間ごとに体制を変えました。これが、大変でなにせ抱っこできる大きさではないので、人間の体位変換と同じようなやり方です。ゴー君もいたかったのでしょう、何度か本気で噛まれてしまいました。普段はもちろん噛むことなどないのですが。歯がほとんどなかったため、致命傷にはなりませんが、噛まれると大変でした。

基本的に介護になってからは介護士でもある私の仕事でした。天気の良い日は玄関を開けて、外の景色を眺められるように配慮しました。また、飲水も自分からは摂らないため、うすめたスポーツドリンクを口元まで持っていき、首を上げて飲みやすくしながら与えました。

この生活が1週間続きました。

ゴー君の最期

ゴー君は父親が大好きで、一番のご主人様だったのですが、その日はたまたま出張で父は泊りでした。ゴー君はその日に逝ってしまいました。ゴー君は、誰かが来るのを待っていたようで、姉が様子を見に行った時に、『危ない』と思ったそうです。特に苦しんでいるとか、そういうことはなかったのですが、察した姉はすぐに家族を呼びました。すぐに駆け付けると、『ワン』と力を振り絞って一鳴きした後、姉をじっと見つめたそうです。そして、そのまま静かに息を引き取りました。

13歳。人間でいうと90歳以上の歳。ゴー君は大病もせず、本当に素晴らしいわんこでした。本当に介護が必要だったのも1週間。文句なしのわんこだったと自信を持って言えます。

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美しい巻き毛のゴールデン、ゴー君。13年間、本当にお疲れ様でした。うちに来てくれて、本当にありがとう。

ゴー君はお手製で棺を作り、花やおやつをたくさん添えて、庭に埋葬しました。写真がシニアのものしかないのですが、おじいちゃんになっても、本当に元気でやんちゃで子供みたいなわんこでした。

寝たきりになったときの介護のポイントとしては

  • 排泄物で身体が汚れないように清潔にする
  • 朝晩の違いが分かるようにする
  • 体が冷えないよう毛布などを掛ける
  • 床ずれを起こさないように体位変換をする
  • 食餌や飲水ができる場合は消化の良いフードを少量ずつ与える

ことなどに注意してください。病気によっては異なることもあるため、病気で寝たきりの場合はかかりつけの獣医さんに相談してください。

たまたま通りすがりの道で、寝たきりのわんこがおむつをはかせられたまま庭に放置されているのを見かけたことがあります。1週間後くらいにまた通ったときには、姿がなかったため、おそらく亡くなったのでしょう。なんてひどいんだと、思いました。最後の最後まで、きちんと面倒を見られないならば、生き物をなぜ飼うのだろうと思いました。

シニアは食事や排せつ、認知症など大変なことがたくさんあります。しかし、私たち人間と同じ、心ある生き物だということを深く意識してほしいと考えています。